2018年1月17日水曜日

075 ジェネリック薬品とは (2008.09)

75・ ジェネリック薬品とは  (2008.09)

最近、テレビCMでジェネリック薬品(後発医薬品)の大手の沢井製薬と東和薬品が(医療機関にジェネリック薬品を使うように求めようという)メッセージを「寸劇」を用いて流しています。このCMについての私のコメントは、先ず、この流れは厚労省が音頭をとっているということを一般の人々は知っておいて欲しいです。従来は厚労省は政治資金や天下りのせいか、あるいは純粋にわが国の製薬会社を海外の会社に負けないようにという国益のためかは不明ですが、先発メーカーに肩入れしていたように思います。ジェネリック薬品を使うのは医療機関が利益のために使うというという風潮(実際は、大体その通りです)が世間一般でした。しかし、厚労省官僚は自らの医療費抑制政策がうまく進まないとみるや、ジェネリック薬品会社に大きく肩入れした保険点数の細かい変更を何度もしてきています。しかし、わが国の先発薬品メーカーの薬品開発の国際競争力に対しての応援という視点も持ちたいと私は思います。➜(注)その後、大手の製薬会社がボロ儲けをし過ぎているという情報(全国保険医協会団体からの新聞や雑誌)もあります。ただ、同協会の仕事の半分は「反政府」という政治活動のように私は感じています。やはり、最近までの大手の先発薬品メーカーは、軒並み合併を繰り返しているので、経営上は安泰でもないかもしれません。

私は以前からジェネリック薬品を既に何割か用いていますし、他の医療機関も大なり小なりそうだと思います。やはり、医療機関の経済にプラスになるからです。今後も多少ジェネリック薬品により多くシフトした割合になると思います。私どもが先発医薬品を選択している場合は二つの理由です。一つ目は先発医薬品の特許がまだ有効であってジェネリック薬品が存在しない場合です。二つ目は医療機関の経済メリットを無視してでも、より信頼性の高い(かもしれない)先発薬を選択する場合です。だから、あの「寸劇」は医療機関の経済的立場を誤解させているように思います。

先日、あのCMを見た患者さんがその真似をして同じようなことを言いました。私は普通にちゃんと説明をしました。「財布の損得を言いますと、ジェネリック薬品を使用すると患者さんも得ですが、医者も得なのです。つまり貴方と同じ経済的立場です。しかし、より重要な薬剤の場合では、常からの情報提供やアフターケアなどを斟酌すると、より信用の大きい先発メーカーの方を選択したい場合もあるのです。この薬剤は先発、あの薬剤はジェネリックという判断は専門である当方の専権にして頂きたくお願いします。ただ、貴方の場合は半分以上はそのジェネリック薬品ですよ」という風に。逆に、「ジェネリックを使われるのは嫌です」と強く希望する患者さんの家族が一人おられて、そのために同じ薬剤に両方品揃えをしているのが一種類あります(75号参照)。こういうのを全部斟酌すると品揃えがどんどん増えてしまい、医療機関の煩雑さや在庫の不経済性から受け容れがたいことになります。最近は、院外処方箋を場合によって利用しています。


さて、ジェネリック薬品とは、「先発医薬品と成分や規格が同じとして承認された医薬品(後発医薬品)のこと」です。先発医薬品はその効果や安全性の研究のために高額の開発費がかかります。先発品の特許等が切れた後に発売されるジェネリック薬品には開発コストがほとんどかからないため、廉くなるのです。ジェネリック薬品はその基本成分は同一であるということでチェックはほとんどないのですが、錠剤やカプセルの作り方はメーカーによって多少の差異がありうるとして、試験管内や生体での「薬剤溶出テスト」というデーターを揃えて、先発医薬品と有意の差異がないことを証明することを厚労省が義務付けています。先発品と後発品は実際はほとんど同じであると私は判断しています。