2018年1月17日水曜日

067 胃に放り込む量を“苦痛なく”減らすノウハウ その1 (2007.01)

67. 胃に放り込む量を“苦痛なく”減らすノウハウ その1  (2007.01)

カロリー過多の方がカロリー摂取を“苦痛なく”減らすことは大変に重要ですが、一番難しい患者指導ですので、私の頭を悩ましています。このシリーズの中でも肥満とかカロリー関連の号を何度も書いているのはその反映です。ところで、もともと自己抑制の非常に苦手な私が最近は体重を5kg以上減らしてずっと維持しています(50号参照)。

私の趣味は大学時代からランニングとサッカーです。私の身長から計算される標準体重は63~64kgです。青年期は50kg強で、「痩せ」でした。
その後、加齢とともに徐々に増えてきていたようで、3年前に66kgになりそうでした。運動を続けていてそうなったのです。「運動時における身体のキレが悪くなってきた」ことと、「ウエストの形の格好が悪くなった」こともあり、ダイエットしようと初めて思いました。私が上手く行っている理由はこの二つをどうしても改善したいという動機が強かったこともあるのかも知れません。3ヶ月で5kg強減らすことが出来て、その後60kg前後で維持しています。何故標準体重よりも少な目かといいますと、上記の2ケの目的のためには標準体重を維持する程度では不充分のように思えたからです。上下2kgくらいの増減はありますが、増えたら食べるのを少し控える、という繰り返しで、私の場合は簡単でした。

自分はパクパク食べるのが大好きでしたが、よく考えてみると微妙な味をじっくり味わってこなかったことに気付きました。そこで、食物を十分に味わってみる癖を付けました。すると、少量ずつ口に入れることになります。なるだけ味覚の鋭敏な舌先で味わうようにします。奥歯で噛んでも、以前ならここでゴックンとするところをまた何回か舌先で味わおうとします。そうすると自然と一旦お箸を置くことにもつながりましたし、食事の時間が経ってしまいます。そうしたら、初めは白飯をもう一杯おかわりしようかと思っていたのが、満腹に近いので止めにするということになってきました。小生は白飯が大好きで副食が多い時でも必ず十分な白飯が必要でしたが、意識して白飯は後回しないし少量ずつ味わうような癖にしました。ポイントは「口にいれたら30回は噛みましょう」という風な寂しい話ではなく、ゆっくり味わおうという豊かな話なのです。小生は恥ずかしながら50数年間生きてきてやっとそういうことに気付きました。その結果、食事量は減りましたが、食事は以前よりも待ち遠しくなって、楽しく食べています。最初の動機の目的も上手くいきましたが、結果的に味わって食べることの喜びも増えたのです。ノウハウのポイントは、少量ずつ口に入れることと、ライオンのように口を上下に大きくパクパクしないで、馬のように舌と口蓋との隙間をあまり空けないことでしょう。
早食いをすると、食べ終わってから「ありゃ、食べ過ぎて胃が苦しい」という不適切な事態になります。脳の満腹中枢を満足させる前に胃袋を満杯にすることを避けるためにも、ゆっくり食べる必要があります。満腹中枢が満足したら、その時点で食事を終了する前提であります。そうでないと、単に「長飯食い」というだけで馬鹿々々しいです。

 もう一つのことは、体重計を身近なところに置いておき、毎日計ることです。興味がでてくると、「今日は大食いになってしまったが、どの位になったかな?」と知りたくなるのです。体重計は2千円未満の安いものが必要十分です。電池切れで困るような体脂肪計のようなものは止めた方が宜しいと、これは強くお勧めしたいです。➜(注)1年前から気ぜわしくて良い習慣が駄目になってしまいました。体重は65kgです。運動能力も明らかに低下しました。今のクリニックの退職を契機に意識をリセットして、再チャレンジの予定です。